私の従姉妹の家はもともと単身者用のアパートだった。そのうちの二部屋をぶち抜いてつなぎ、さらに庭に部屋を一つ足しているので、3DKという間取りだ。初めはキッチンも風呂もトイレも二つずつあった。そのうちキッチンと風呂の一つずつを潰して玄関とダイニングにしたのだが、トイレは二つ残したままだ。部屋数の割にトイレが二つあるので、私は幼いときから、不思議な家だなあと思っていた。
その二つのトイレ、今どき珍しい和式便所だ。私は生まれたときから洋式便所でしか用を足したことがなかったため、従姉妹の家に泊まると必ずうんちが出せなくなり、毎回のように便秘になって実家に帰ったものだ。だけど従姉妹は和式便所で慣れているため、私の家にくると逆に便秘になって帰っていくのだった。
その因縁のトイレ、二つのうち一つを洋式便所に改装するとのこと。何でも従姉妹の両親、つまり私の叔父叔母がしゃがむ体勢がきつくなってきたらしく、だけど従姉妹たちは和式便所の方が用を足しやすいため、一つだけ改装するということになったらしい。和式の便器って洋式に変えられるんだろうか、私はてっきり和式便器に洋式スタイルの便座を取り付けるだけの簡単な工事かと思っていたら、1週間ほどかかる大工事になったのだという。
そしてトイレの改装工事が終わったので、是非と招待された。数年ぶりに訪れる従姉妹の家は老朽化が進んでいたけれど、匂いも雰囲気も昔とは変わっておらず、何だか懐かしい気持ちになった。そして肝心のトイレはと言うと…確かに和式便所に洋式便器をくっつけただけのやつとは違い、普通の洋式便所になっていた。隣にある和式のままのトイレと比べるとだいぶ違う。あの頃このトイレがあったらな…と思わずにはいられない。
叔父叔母のために改装したトイレだけど、結局今では従姉妹たちも普通に使っているそうだ。もう一つのトイレが改装されるのも…時間の問題な気がする。